法定相続人は、被相続人に属していた権利および義務の一切を引き継ぎます。被相続人が持っていたプラスの財産(現金、預貯金、不動産等)を相続するのに加えて、負債(借入金、未払いの諸費用等)についても、各相続人が、法定相続分に応じて相続することになります。
もし、相続するプラスの財産より、負債の方が多ければ、相続した人が、債権者に対して、自らの費用において負債を支払う義務を負ってしまいます。
そこで、家庭裁判所へ申述することによって、相続を放棄することができるという制度・手続きが設けられています。
ただ、相続放棄をした場合には、マイナス財産(負債)のみでなく、プラス財産も一切、相続できなくなるので、注意が必要です。
従って、実務的には、被相続人の遺産において、プラス財産をマイナス財産が明らかに上回っている場合に、相続放棄を選択することが多いです。
相続放棄ができる期間を熟慮期間(じゅくりょきかん)といいます。この期間は、民法により、以下のとおり、定められています。
「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に、単純承認、限定承認、または相続放棄をしなければならない」(民法915条1項本文)
「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続開始の原因である事実を知り、それによって、自分が法律上の相続人となった事実を知った時です。
(1)必要書類の収集
家庭裁判所へ相続放棄の申述をするためには、相続放棄の申述書の他に、戸籍謄
本等の書類が必要となりますが、必要となる書類は,誰が申述人(相続放棄する
人)になるかによって、異なってきます。
①申述人(相続放棄する人)が配偶者・子の場合
・申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
【代襲相続人の場合】被代襲者の死亡の記載のある戸(除)籍謄本等
・被相続人の死亡の記載のある戸(除)籍謄本等
・被相続人の住民票の除票(又は戸籍の附票)
②申述人(相続放棄する人)が直系尊属(父母・祖父母)の場合
・申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸(除)籍謄本等
・被相続人の住民票の除票(又は戸籍の附票)
③申述人(相続放棄する人)が兄弟姉妹の場合
・申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
【代襲相続人の場合】被代襲者の死亡の記載のある戸(除)籍謄本等
・被相続人の出生から死亡までの戸(除)籍謄本等
・被相続人の住民票の除票(又は戸籍の附票)
・直系尊属の死亡の記載のある戸(除)籍謄本等
・収入印紙・予納郵券
上記の他に、申述人一人につき、収入印紙800円分、郵便切手数百円分が必要と
なります。
(2)家庭裁判所からの照会及び回答
家庭裁判所へ相続放棄の申述受理申立てをして、しばらくすると(概ね2週間く
らい)、家庭裁判所から、申立人のもとに、照会書というものが送られてきま
す。
この照会は、申述をした人が、本当に自分の意思で相続放棄をしようとするのか
を確認するためのものです。
申立人は、照会書に記載されている問いに答える形で、回答を作成し、家庭裁判
所に返送します。
家庭裁判所は、この照会書を受領した後、相続放棄申述を受理するかの審査をし
ます。
(3) 相続放棄申述受理の通知
相続放棄の申述が受理されたら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送ら
れてきます。
ここでは当事務所サービスの料金についてご案内いたします。
相続放棄 | ¥30,000 |
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相続放棄される方が2名以上の場合、1名追加ごとに20,000円(税別)を加算します。