自筆証書遺言(手書きによる遺言)は、家庭裁判所での検認手続きを受ける必要があります。
検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
1 遺言書検認申立て
遺言書検認の申立ては、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ行います。
その際に必要となる書類は以下のとおりです。
必要書類
・遺言書検認申立書
・遺言書
・申立人、相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申立てに必要な収入印紙、予納郵券
・収入印紙 800円分
・郵便切手 数百円分(詳細は、家庭裁判所へお問い合わせください)
2 検認期日の通知
家庭裁判所は、申立人と調整のうえ、検認期日を設定します。そして、その検認期日を
申立人以外のすべての相続人に郵便で通知し、検認期日への立会いを要請します。
但し、出席しない相続人がいても、最低限、申立人が出席していれば、検認は実施され
ます。
3 検認期日における検認
検認においては、遺言の方式に関する一切の事実を調査します。そのうえで、申立人、
立ち会った相続人の住所・氏名、遺言の方式に関する事実調査の結果などを記録した
検認調書が作成され、検認済証明書(遺言書に添付される)を発行してもらえます。
4 検認の意義と留意点
遺言書の検認手続きとは、遺言書の日付、署名、押印がどのようになっているか、どの
ような用紙に、どのような筆記具で書かれているかなど、あくまでも遺言の方式に関する
調査であり、遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありません。
従って、検認を受けたからといって、遺言書が有効と判断されたことにはなりません。
相続による不動産の名義変更の登記や、預貯金の相続手続き等の相続手続きに自筆証書遺言
の検認を受けたことを証する検認済証明書の添付が必要となりますが、検認は受けていても
遺言の有効・無効は判断されていないため、いざ相続続きの段階で、遺言書が無効と判断さ
れ、その遺言書を使用した相続手続きができないということもありえます。